| ●カレンダー大百科のトップへ● 学術百科事典 P.4 日本の暦→七曜と自然暦 |
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| (7)日本の暦 | ||||||
| 日本書紀には、欽明天皇14年(553年)、百済から専門の学者とともに暦書を輸入したと記述されています。また、持統天皇4年(690年)には、国家としての暦法を定めたとあります。以来、中国の暦が順次用いられ、清和天皇の貞観4年(862年)には、唐の宣明(せんみょう)暦が採用されました。その後、長く中国との国交が途絶え、なんと823年間の長きにわたって宣明暦が使われました。 中国から伝わったのは太陰太陽暦です。太陽暦の一年を二十四節気に分けたり、干支、五行、二十八宿などの星占いや迷信も同時に移入されました。こうして暦は、季節を知る目的以外にも、吉凶など人々の生活と密着して発展してきました。また、暦を作るのは中国と同じ国家事業でした。 5代将軍綱吉の頃に、やっと改暦の気運が高まりました。宣明暦は1年を365.2446日としていたため、この頃になると日食や月食の予報も狂いだし、冬至、つまり年間でいちばん昼間の短い日が、2日も早くなってしまったのです。江戸時代に入って天下も落ち着き、学問も盛んになりました。 当時の天文学者としては名声随一の、渋川春海が元(げん)の授時暦を研究し、改良案を練っていました。彼は独自の観測を続け、中国と日本の経度差を折り込んで、日本版・太陰太陽暦の第一号を完成させました。何度も朝廷に上奏し、貞享(じょうきょう)暦として貞享2年(1685年)に採用されました。 この後、改暦の活動は断続的に明治まで続きます。8代将軍徳川吉宗は天文学に興味がありました。自分の治世下で優れた暦の誕生を図りましたが、意図半ばで没します。しかし、この事業は継続され、宝暦5年(1755年)宝暦暦の施行を見ます。ただ、当時は暦学者に恵まれず、この暦が宝暦13年の日食を予告できなかったこともあり、評判は良くありませんでした。 |
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| 日本中で使われた折本形式の伊勢暦 |
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| 時代は下って寛政10年(1798年)、江戸随一の天文家と評される高橋至時(よしとき)等が、海外の文献などを研究し、精密な寛政暦を完成し、施行されます。 さらにその子の渋川景佑は父の研究を引き継ぎ、オランダの天文学書なども翻訳し、改暦作業を進めます。 こうして天保13年(1842年)に実施された天保暦は、太陽年に換算すると365.24223という、太陽暦とほぼ同じ優れたものでした。この天保暦は29年間使用され、明治6年(1873年)、現在のグレゴリオ太陽暦にその座をゆずります。 しかし、旧暦として現在に至るまで、生活の一部に天保暦が残っています。ただし、基本的な数値計算などは、現代の理論で修正されているので、純粋な天保暦ではありません。 |
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| ▼月の名前 外国にくらべて日本の月の呼び方は、かなり生活感があり文学的ですが、季節は旧暦のため、必ずしも現代と一致しません。 |
一月=睦月・むつき:お正月に一族や知り合いが、睦まじく集まるという意味です。 二月=如月・きさらぎ:衣更着の転字、冬の衣服を着替える頃の意味です。 三月=弥生・やよい:草木がいよいよ生い茂るという意味です。 四月=卯月・うづき:卯の花の咲く季節という意味です。 五月=皐月・さつき:文字はサツキツツジですが、本来は早苗の月、つまり田植えの季節の意味です。 六月=水無月・みなづき:元の字は水之月で、田に水がある月の意味です。 七月=文月・ふづき:穂見月が転じたもので、稲穂が出てくる月の意味です。 八月=葉月・はづき:稲穂がますます盛んに出る月です。 九月=長月・ながつき:夜長月ともいい、イネが成熟期に入るという意味です。 十月=神無月・かんなづき:神之月の変形、または神が天に去る月とも言われます。 十一月=霜月・しもつき:霜が降り始める季節の意味です。 十二月=師走・しわす:極月の文字で、一年の万事の終わりという意味、俗には師が走るほど忙しい月とも言います。 |
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| 庶民が一般的に使った太陰暦 |
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| ▼日本独自の雑節 大寒や立春などの節気は、中国で作られたので、日本の気候に合っていないものも多いのですが、日本で作られて、日本の生活にマッチしているのが雑節です。 節分:冬と春を分けるという意味で邪気祓いをします。八十八夜:立春から88日目で苗代つくりの季節です。八十八は米の字も表します。 |
入梅:梅雨に入り田植えの好適期になります。 二百十日:経験的にこの頃は、暴風雨があることに気付き、江戸初期から暦に記されるようになりました。 土用:五行によって、春夏秋冬の季節の末尾18日間を土用といいます。立秋前の土用はうなぎで滋養をとります。 |
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| ▼暦の上・中・下段と出版権 昔の暦は縦・三段に分かれていて、上段は幕府方で計算されたカレンダー部分です。この内容が京都へ送られ、土御門家で中・下段に吉凶・世俗信仰などが記入されました。 こうして完成した原稿が伊勢、京都、南都(奈良)、三島、江戸、会津などの、特定の版元の手に渡って出版されました。明治の新政府が太陽暦を公布するにあたって、今までの暦の中下段は迷信であって、知識の発達を妨げるものだから、新暦に使ってはいけないとの詔書が添えられました。 |
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| 明治38年の名入カレンダー(観兵式) |
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| 明治の改暦には、各地の出版権をめぐって、かなりの軋轢がありました。その紛糾を収めるため、明治16年に伊勢神宮が出版権を統括しました。つまり日本の暦には、出版の自由がなかったわけで、昭和20年の大戦終了まで続きました。 戦後はすべて自由となり、同時に禁止されていた、中下段の吉凶・世俗信仰も息を吹き返しました。神社や易所から多種多様な暦が出版されていますし、洋式カレンダーでも、詳しいものは九紫などの易方、大安などの吉凶、子・丑などの十二支、そして旧暦を併記しています。 現在の暦編纂所は東京天文台で、各地の日出入時刻、月の朔望と出入時刻、二十四節気、雑節や日食・月食などが計算されます。東京天文台編集の理科年表の暦部に詳細が載り、2月1日の官報に、翌年分の要項が発表されて、出版権も自由です。 |
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| 初めての太陽暦、明治6年刊行で太陰暦が併記されている |
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| (8)東西の七曜暦と週 |
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| 曜日の名前は、東西ともに占星術の流れです。日本の七曜暦は惑星の位置を記した天体暦です。日と月、そして火星・水星・木星・金星・土星の、5つの惑星の運行を表した暦でした。七曜はかなり昔に中国から入ったもので、998年に書かれた藤原道長の日記には曜日が記されています。明治の改暦にあたっても、その曜日名がそっくり太陽暦に移行されました。 西洋の七曜は、旧約聖書からきています。神が6日間で天地を創造し、7日目を休息したことから、仕事をしない安息日とされました。SUNDAY(SUN)、MONDAY(MOON)、SATURDAY(SATURN)などは共通した曜日名です。 |
週は日数の人為的な区切り方で、天体の運行とは無関係です。おそらく商業が発達し、市が立つ日の間隔として使われたのではないかと推測されます。たとえば、西アフリカでは四日周期、中央アメリカでは五日、古代アッシリアでは六日でした。このほか古代ローマでは八日(nundinae)、ユダヤの七日、インカ人は十日の週を使ったことが知られています。 なお、七を神秘的な数とする風習は、古代から世界各地にあり、ローマ人やサクソン人は1〜7の日に神々の名をつけていました。 |
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| ●農漁業と自然の暦 太陰暦は日にちを数える手軽な方法ですが、季節のサイクルとは一致しません。農業が始まった頃、太陽暦がない人々は、自然界のカレンダーを利用しました。種を播き、肥料を施し、収穫をあげる時期を知るためです。植物の開花や、野鳥の活動などを季節のメドに、農作業の準備をしたり、また漁民は魚の回遊を予測しました。 東北地方ではコブシの花を「種まき桜」という所が多く、苗代に種を播く季節に咲きます。秋田県山本郡では、コブシの花を田打ち桜と呼びます。春先の雪解けによって、山肌に描かれる絵模様も自然の暦です。 長野県・白馬岳は、頂上の雪が消えて「代馬」になったとき、田の代かきを始めることからその名が付きました。山梨県北巨摩郡の農鳥岳の名は、雪が鳥の形に消え残っている時に、代かきを始めたためです。 |
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| 海、太古から続く自然の恵み | ||||||
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| 宮城県栗駒山では、雪が坊主の形に残り、それを種まき坊主と呼んでいます。岩手・秋田県境の駒形山でも、白馬の形が現れる時を種まきの時期にしています。 日本は桜前線で見るように、春耕秋収の時期がズレるので「藤の花が咲いたらアワやヒエの種を播く」という風習が各地にあるのは、むしろ合理的です。伝承が文書化された会津農書(1684年)には、種まき桜のほかに、田植えの頃に咲く卯の花を、五月乙女花と記しています。 秋田地方では、晩秋の雷鳴をハタハタ雷といい、遠雷が響く時にハタハタがとれるので、一斉に出漁します。島根県では、麦わらの時期に鯛がとれるので、麦わら鯛という名があります。 |
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